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🔨 茨城県稲敷郡阿見町に拠点を置く大和田設備工業は、上下水道工事を中心に管工事・土木工事を手がける設備会社です。代表の大和田正行氏は、鉾田市の家業で腕を磨いたのち、2020年に独立しました。業界歴24年、1級施工管理技士の資格を持つ職人社長です。従業員5名の会社は今、あえて受注を絞り、営業と人づくりへ舵を切りました。その理由を聞くと、中小建設業の「転換点」のリアルが見えてきます。💧
✅ この記事でわかること
家業を出て独立に踏み切った経緯
適正価格で品質を守るための考え方
忙しさを打破する受注の見直し方
大和田社長のキャリアは、茨城県鉾田市で設備業を営む父のもとから始まりました。
父と兄と大和田社長の3人による家族経営です。そこから、どのように独立を決めたのでしょうか。
千代田:もともと水道関係や管工事をやられていて、独立されたんですか?
大和田:そうです。もともと父親が設備屋で、父親のところで働いていました。兄と自分と父親の家族経営です。地元は鉾田市なんですが、兄が継ぐのはもちろん決まっていたので、自分はいずれどこかへ行くか、自分でやるかのどちらかだなと、もともと思っていました。
千代田:独立されたのは何年ぐらいですか?
大和田:2020年です。兄に社長が移るタイミングもあって、自分も外に出て独立したいという思いがもともとありました。それで、今の場所で独立しました。最初は自分一人です。
千代田:法人化されたのはいつですか?
大和田:2025年です。
千代田:業界歴24年となると、もう分からないことはほぼないのでは?
大和田:分からないこと、どんどん出ますよ。新しい技術は、やっぱり最初は分からないので正直に言います。一応、管工事と土木は1級の施工管理技士を取りました。独立する前に取ってありました。
中小建設業にとって、家業から独立して自分の看板を掲げるのは大きな決断です。
大和田社長は、1級の国家資格という「武器」を独立前に揃えてから、その一歩を踏み出していました。
現在の主力は、道路から敷地内へ水道管を引き込む「取り出し」などの上下水道工事です。
取手・龍ケ崎・牛久・つくばなど茨城県南地区で指定工事店となっており、浴槽やキッチンなど水回りのリフォームにも対応しています。
千代田:お客様から「ここが助かる」と言われることはありますか?
大和田:素早く対応してくれて助かった、とかですね。水が漏れていて、地元の指定工事店を見て電話をかけてきた人がいました。何軒かの工事店にたらい回しにされて、やっとうちが来てくれた、と言われました。
千代田:仕事をする上で、ここだけは譲れないというこだわりはありますか?
大和田:ちゃんとやるのが前提で、そのためにはこれぐらいかかりますよ、という方を大事にしています。20万円かかるのが当たり前の仕事でも、仕事が欲しいからと10万円にする人がいます。そこで雑な仕事をしたり変な材料を使ったりするぐらいなら、10万円ならやらないで、20万円でちゃんとした仕事をする方が、俺はいい。そこはこだわりかな。
「10万円で雑な仕事をするぐらいなら、20万円でちゃんとした仕事をする方がいい」
── 代表 大和田 正行 氏
千代田:新規の企業さんとは、どういった理由でつながっているんですか?
大和田:コミュニケーション能力はそんなにないですけどね。資格もちゃんと持って、許可も取るものは取って、堂々とやれる状態を整えています。いざ話が来たときに「大丈夫です」と言える状態に、常にいるようにしています。
千代田:印象に残っている現場はありますか?
大和田:もうすぐ終わるんですけど、NEXCO東日本の料金所の給排水ですね。普通より大きい管や大変な材料を使うこともありますし、ルールもある。やっぱり大変です。
「仕事はあるのに、手が回らない」。多くの中小建設業が抱えるこの悩みに、大和田設備工業も向き合っていました。
頼れるはずの「横のつながり」も、現実には決め手にならないといいます。
千代田:横のつながりで仕事や人を増やすのは難しい、という声を多く聞きます。御社はいかがですか?
大和田:横のつながりは全くないです。仕事につながることもないし、人手不足も解消できない。お互いどっちも忙しくなっちゃうし、同業だから、言ってみればライバルみたいなものなので。
千代田:今は仕事が手いっぱいな状況なんですか?
大和田:仕事は今あります。ただ、忙しすぎて、俺が営業の時間も作れないぐらいになってしまいました。それを打破できないので、思い切って新規の案件を止め始めています。もともと受注しているものが12月ぐらいまではあるので。
千代田:だいぶリスキーな判断ですよね。
大和田:心の中ではずっと考えていましたが、従業員もいるから踏ん切りがつきませんでした。でも、どこかで思い切らないといけない。従業員みんなと話し合って、そうすることにしました。
千代田:人手の面では、どんな方が欲しいですか?
大和田:職人です。本当は1人か2人欲しい。ある程度の経験者が1人いれば、自分の手が結構空きます。次の仕事を作っていくのは、本当は俺の仕事なので。
💡 中小建設業が真似できるヒント
営業の時間がないなら、受注を一部絞ってでも経営者の時間を確保する
大きな方針転換は、従業員と話し合ったうえで決める
採用は「現場を任せられる経験者1人」で経営者の手を空ける発想で考える
受注を見直してまで、大和田社長が目指すものは何なのでしょうか。
話を聞くと、その先には専門性の高い仕事と、一緒に働く社員への想いがありました。
千代田:今後は、どういうお仕事を増やしていきたいですか?
大和田:もともと自分は設備屋なので、設備に特化した、もうちょっと専門性のある仕事をやっていきたい。公共工事も取っていきたいと思っています。
千代田:従業員さんへの還元も意識されているんですか?
大和田:そうです。それだけじゃないですけど、やっぱり利益を上げないと社員にも還元できません。こういう工具が必要だ、こういう設備を整えたいという声が上がってきても、利益がないと応えられない。今のままでは還元するほど残らないので、思い切っています。
千代田:従業員さんは、どういった形で入られたんですか?
大和田:紹介ですね。みんな業界歴は長いです。ただ、1人は入って1年ぐらいの新人で、今育てているところです。
千代田:還元への想いは、どういうところから来ているんですか?
大和田:今払えるものは払っているつもりです。でも、新人の子も含めて、みんなちゃんと仕事ができるようになってきた。レベルが上がれば上がるほど、しっかり評価したいんです。お金だけじゃないかもしれないけど、お金が一番わかりやすい、頑張った証だと思う。だから少しずつでも増やしていきたいです。
「お金だけじゃないかもしれないけど、お金が一番わかりやすい、頑張った証だと思う」
── 代表 大和田 正行 氏
🎤 社長に一問一答
Q. 最近行った旅行先は?
A.
大阪です。新幹線で行って、通天閣があるあたりに。遊び半分ですけどね。
Q. 車はどこで買っていますか?
A.
なぜか埼玉の鶴ヶ島のディーラーです。知り合いの紹介で、別に安くなるわけでもないんですけど。
Q. 埼玉の現場もありますか?
A.
白岡や吉川でもやったことがあります。埼玉とは、なんというか親和性があるんですよ。
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📝 編集部コメント
取材を通じて感じたのは、大和田社長の「ちゃんとやる」ことへの誠実さでした。安く雑にこなすより、適正な価格で正しく仕上げる。その姿勢は、頑張る社員を正当に評価したいという想いにも、まっすぐつながっています。