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国土交通省は、道路や橋、下水道などを「直して守る」これまでのやり方から、全体を見渡して優先順位をつけながら管理するやり方へと、大きく舵を切ろうとしています。
その方針をまとめたのが、「今後のインフラのマネジメントのあり方について 中間答申(案)」です。結論から言えば、この方針は地域の建設業にとって仕事の中身と発注の仕組みが変わっていく合図といえます。
中間答申(案)は、社会資本整備審議会・交通政策審議会(社会資本整備審議会・交通政策審議会とは:国土交通大臣の諮問を受けて政策の方向性を審議する有識者会議)の技術部会に置かれたインフラマネジメント戦略小委員会が取りまとめたものです。
小委員会は令和7年12月16日の大臣諮問を受けて審議を重ね、令和8年9月3日に「中間とりまとめ」を公表、9月3日から16日までパブリックコメントを実施しました。パブリックコメントには258件(90者)の意見が寄せられ、それを踏まえた中間答申(案)が9月30日の第6回小委員会で審議されました。さらに国土交通省は、10月5日に開いた第41回技術部会でこの案を審議しました。
案では、インフラマネジメントへの戦略的転換を掲げ、次の5つの方策を示しています。
1.
「メリハリ」の推進
2. 「見える化」の徹底
3.
インフラの「自分事化」と「モーメンタム」の醸成
4.
担い手に「もっと光を」当てたインフラマネジメント産業の構築
5. 統合的「マネジメント」の構築
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/sogo03_sg_000251.html)
きっかけの一つとして本文が挙げるのが、令和7年1月28日に埼玉県八潮市で起きた、下水道管路の破損に起因する道路陥没事故です。案は、これまでのメンテナンスの取組だけではまだ不十分だと痛感した、と記しています。
下水道分野では、化学・力学・地盤的な弱点が重なる箇所の点検を、これまでの5年に1回以上から3年に1回以上へ強化する改正内容も示されています。
地方の体制面の数字も厳しいものです。
・全国の約1/4の市区町村で技術系職員が皆無、約5割では5人以下
・土木費は平成5年度の約11.5兆円をピークに、近年は約6.5兆円程度と約6割に低下
・新技術の導入は約8割、優先度に応じたメリハリの取組は約7割の機関・部署で実施されていない
発注する側の人手もお金も限られる中で、すべてを同じように点検・補修し続けるのは難しい、というのが今回の転換の出発点です。

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/sogo03_sg_000251.html)
パブリックコメントでは、27件が包括的民間委託(包括的民間委託とは:複数の業務や施設の維持管理をまとめて民間に任せる方式)、17件がインフラマネジメント産業の健全な発展に関する意見でした。現場の関心が、仕事の受け方そのものに向いていることがうかがえます。
1つ目は発注の仕組みの見直しです。巡回、清掃、除草、剪定などの維持作業は約7割の機関・部署が外部委託しており、そのうち約5割で直近3カ年のいずれかに随意契約(随意契約とは:入札を行なわず発注者が相手を選んで結ぶ契約)が発生しています。受注業者の減少や人材不足、高齢化が課題として挙がっており、案は点検や修繕など地域の維持管理を合理的・効率的に受発注できる仕組みを検討するとしています。
2つ目は広域・まとめ発注の流れです。複数の自治体や分野のインフラを「群」として管理する群マネは、11件(40地方公共団体)のモデル地域で検討が進んでいます。また包括的民間委託は活用が約1割にとどまっており、手引きの周知やアドバイザー派遣で導入を後押しする方針です。
3つ目は処遇と積算の改善です。令和6年に改正された担い手3法(担い手3法とは:建設業法、入札契約適正化法、公共工事品質確保法の3つ)の規定を適切に運用し、適正な労務費や価格転嫁、適正工期の確保を進めるとしています。
さらに、小数量多工種のメンテナンス工事の実態に応じた歩掛(歩掛とは:作業ごとに必要な人工や機械の量を示した積算の基準)の設定など、積算方法のあり方を直轄工事で検討するとしています。
案は、ロボット、センサー、ドローン、人工衛星、AIなどの新技術を積極的に活用し、点検や補修の記録を統一的なフォーマットでデータベース化する方向も示しています。
中小の建設会社としては、点検・補修の記録を整理して残す習慣をつけること、まとめ発注に備えて近隣の同業者や専門業者と連携できる関係をつくっておくことが、現実的な第一歩になるでしょう。
中間答申(案)は、地域の建設業を「地域の守り手」と位置づけ、担い手に「もっと光を」当てることを柱の一つに据えています。発注の仕組みや積算の見直しが具体化していく過程を、自社の受注戦略を見直す機会として注視していきましょう。
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出典:「今後のインフラのマネジメントのあり方について 中間答申(案)」ほか第6回インフラマネジメント戦略小委員会 配付資料(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/sogo03_sg_000251.html)、「社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会 第41回技術部会の開催について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001363.html)をもとに作成
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