夏の建設現場では、熱中症対策がこれまで以上に重要な経営課題となっています。BGT(暑さ指数)の確認や休憩時間の確保、水分・塩分補給など基本的な対策は広く浸透していますが、それでも熱中症による労働災害は後を絶ちません。
特に建設業では、体調の異変を我慢して作業を続けてしまい、症状が悪化してから発見されるケースも課題となっています。 こうした状況を改善するため、福岡市ではAIを活用した熱中症予測システムの実証が始まりました。
熱中症が発生してから対応するのではなく、「危険になる前」にリスクを把握し、事故を未然に防ぐ新しい安全管理として注目されています。
福岡市でAI熱中症予測システムの実証がスタート
『BeeInventor株式会社(本社:福岡県福岡市中央区、代表取締役:ハリー チャン、以下、「ビーインベンター」)は、2026年7月より福岡市が推進する実証事業の一環として、市内建設現場においてAI熱中症予測システム「DasSenseH」の実証を開始しました。 本実証は2026年7月から10月までの約4か月間実施し、1現場4名の作業員を対象に、AIによる熱中症リスクの予兆検知とリアルタイム通知の有効性を検証します。 実証を通じて、AI予測精度のさらなる向上と、建設現場における熱中症の未然防止を目指します。』
引用元:BeeInventor株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
経験や勘だけに頼らない安全管理へ
近年は猛暑の影響もあり、職場での熱中症による労働災害が増加しています。建設現場では屋外作業が多く、重機の操作や資材運搬など体への負担も大きいため、熱中症対策は企業が取り組むべき重要な安全管理の一つです。
従来は、WBGTが一定の数値を超えたら休憩を取る、作業員同士で声を掛け合う、本人から体調不良を申告するといった対応が中心でした。しかし、「まだ大丈夫」「作業を止めたくない」という心理から、異変を見逃してしまうケースもあります。
今回実証される「DasSenseH」は、そうした課題を解決するために開発されたAI熱中症予測システムです。現在の体調だけでなく、これから先のリスクを予測し、早めの対応につなげることを目的としています。
AIが30分から1時間先のリスクを予測
「DasSenseH」は、既存の作業用ヘルメットに後付けできるセンサーを活用したシステムです。センサーから取得した深部体温(推定値)に加え、WBGT(暑さ指数)、作業強度、年齢などの情報をAIが総合的に解析し、作業員一人ひとりに合わせた熱中症リスクを予測します。
大きな特徴は、現在の状態だけでなく、約30分から1時間先の危険性まで予測できることです。従来のように「症状が出てから休む」のではなく、危険が高まる前に休憩や作業内容の変更を判断しやすくなります。
AIが高いリスクを検知すると、管理者へメールやMicrosoft Teamsを通じて通知されます。対象者や危険度をすぐに把握できるため、迅速な初動対応につながることが期待されています。
引用元:BeeInventor株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
安全管理DXは中小建設会社にも広がる可能性
このシステムは、既存のヘルメットに後付けできるため、新たな装備へ全面的に切り替える必要がありません。現場への負担を抑えながら導入しやすい点も特徴です。
また、クラウド上で複数現場の状況を一元管理できるため、複数の現場を担当する管理者でも作業員の状態を把握しやすくなります。人手不足が続く建設業では、安全管理と業務効率化を同時に進められる技術として期待されています。
もちろん、AIだけで熱中症を防げるわけではありません。WBGTの確認やこまめな休憩、水分・塩分補給、作業員同士の声掛けといった基本的な対策を継続した上で、AIを補助的に活用することが重要です。
今回の実証によって有効性が確認されれば、建設業だけでなく、物流や警備、設備保守など高温環境で働くさまざまな現場へ普及が進む可能性があります。安全管理のデジタル化は、今後さらに加速していくでしょう。
まとめ
福岡市で始まったAI熱中症予測システムの実証は、建設現場の安全管理を「異変への対応」から「危険を予測して防ぐ」仕組みへ進化させる取り組みとして注目されています。 猛暑が続く中、熱中症対策は企業が果たすべき重要な責任です。
従来の安全対策にAIやIoTを組み合わせることで、作業員の命を守り、安心して働ける現場づくりにつながります。今後の実証結果は、建設業界全体の熱中症対策の方向性を考える上でも注目したいニュースといえるでしょう。
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