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「現場に入ってみたら図面と状況が違った」「施主の要望で途中から仕様が変わった」――見積もりを出したあとに条件が変わるのは、建設業では日常茶飯事です。ところが、追加費用の話を切り出すタイミングを誤ると、本来受け取れるはずの代金を取りこぼしてしまいます。
今回はよくある失敗例をもとに、追加費用を「いつ・どう」相談すべきかを整理します。
内装工事を請け負った会社のケースを想像してみてください。
解体してみると下地の傷みが想定以上で、補修が必要になりました。工期が迫っていたため、元請の担当者に口頭で「ちょっと直しておきます」と伝えて作業を進めました。ところが完了後に追加分を請求すると、「そんな話は聞いていない」「見積もりに含まれていると思っていた」と言われ、結局ほとんど支払われなかった――。
こうした話は決して珍しくありません。
※画像はイメージです
失敗の原因は大きく二つです。
一つは、金額や範囲を決めないまま作業に入ってしまったこと。もう一つは、やり取りを書面に残さなかったことです。
建設業法では、追加変更工事(追加変更工事とは:当初の契約に含まれていない工事を後から加えたり、内容を変えたりすること)であっても、契約内容を書面で取り交わすことが原則です。国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(建設業法令遵守ガイドラインとは:元請と下請の取引で法律違反になりやすい行為を国がまとめた指針)でも、追加工事の内容が確定した時点で、作業に入る前に書面で契約変更を行なうよう求めています。
「終わってから請求」は、法律の考え方から見てもズレているのです。
追い風となるのが、2024年6月に公布された改正建設業法です。2024年12月13日から、資材高騰などに備えた新しいルールが施行されています。
一つ目は、契約書に「請負代金の変更方法」を記載することが義務になった点です。資材価格が大きく変動したときに代金をどう見直すかをあらかじめ決めておく必要があり、この条項を削除することは法律違反とされています。
二つ目は、おそれ情報(おそれ情報とは:資材の高騰や供給不足、労務の不足など、工期や代金に影響しそうな事象についての情報)の通知です。受注者は、そうした事態が起こりそうだと考えたとき、契約を結ぶ前に注文者へ伝えなければなりません。
そして、通知した事態が契約後に実際に起きた場合、受注者は契約変更の協議を申し出ることができ、注文者には誠実に協議に応じる努力が求められます(公共工事の発注者は義務)。「言いにくいから黙っておく」ではなく、先に伝えておくことが自分を守る仕組みになったわけです。
1.見積書に前提条件を書く
「既存下地は健全な状態を前提とする」「数量は図面による」など、見積もりの前提を明記しておけば、条件が変わったときに「どこが変わったのか」を説明しやすくなります。
2.変化に気づいたら作業前に連絡する
想定外の状況が見つかったら写真を撮り、その日のうちに元請や施主へ連絡しましょう。「とりあえずやっておく」は禁物です。
3.金額が決まらなくても記録を残す
作業を止められない場面でも、追加工事の内容と「金額は後日協議する」旨をメールや注文書で残しておくだけで、後のトラブルを大きく減らせます。
4.契約書のひな形を見直す
中央建設業審議会が作成した建設工事標準請負契約約款(建設工事標準請負契約約款とは:対等で公平な契約関係を保つために国が示している契約書のひな形)を参考に、自社の契約書に変更方法の条項が入っているか確認しておきましょう。
話し合いがこじれた場合は、建設工事紛争審査会(建設工事紛争審査会とは:国や都道府県に置かれた、工事の請負契約をめぐるトラブルを解決するための機関)に相談する道もあります。
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見積条件が変わったときの追加費用は、「気づいた時点で、作業に入る前に、書面で」相談するのが鉄則です。法改正によって、受注者が声を上げやすい環境は整いつつあります。遠慮せず、正当な対価をきちんと受け取れる段取りを今日から整えていきましょう。
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出典:
・「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00033.html)
・「建設工事の契約前後のルールが変わります!」(国土交通省関東地方整備局)(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000922587.pdf)
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