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建設業では「見積もりは無料」が当たり前になっています。しかし、見積もりを作成するためには現地調査、図面確認、材料費の算出、協力会社への確認、書類作成など、多くの時間と労力が必要です。
特に中小建設会社では、社長や現場監督が見積もり業務を兼務しているケースも多く、受注につながらなかった案件でも確実にコストが発生しています。 見積もり作成にどれほどの費用がかかっているのかを把握することは、利益改善の第一歩です。
例えば小規模なリフォーム工事の見積もりであっても、問い合わせ対応から提出までに数時間を要することがあります。
一般的な流れとしては、
・問い合わせ対応
・現地調査
・図面や写真の確認
・材料費や労務費の積算
・協力会社への見積依頼
・見積書作成
・提出および説明
といった工程が必要になります。
仮に現場監督や営業担当者の人件費を時給3,000円とした場合、4時間かかれば人件費だけで12,000円です。さらに移動時間や交通費、事務担当者の作業時間を加えると、1件あたり15,000円〜20,000円程度のコストが発生していても不思議ではありません。
受注率が50%であれば、実際には受注案件1件を獲得するために2件分の見積もりコストを負担している計算になります。
※画像はイメージです
多くの経営者が見落としがちなのが失注案件のコストです。
例えば月に20件の見積もりを作成し、1件あたり15,000円のコストが発生しているとします。 20件×15,000円=300,000円 毎月30万円、年間では360万円のコストが見積もり作成に使われていることになります。
もちろん受注につながれば投資として回収できます。しかし、価格競争だけで失注する案件が多い場合、そのコストは利益を圧迫する要因になります。 特に近年は資材価格や人件費の上昇により適正価格での受注が求められています。利益の出ない案件を追い続けることは、会社経営にとって大きなリスクです。
こうした背景から、見積もり業務の効率化に取り組む建設会社が増えています。 近年では建設業向けの積算ソフトやクラウドサービスも充実しています。
例えば、建築積算システムとして利用されている「ATLUS NEXT」や「HELIOS」、クラウド型業務管理サービスの「ANDPAD」などは、情報共有や見積業務の効率化に活用されています。
また、過去案件のデータベース化を進めることで、類似工事の見積作成時間を短縮している企業もあります。 重要なのはツールを導入すること自体ではなく、「毎回ゼロから見積もりを作らない仕組み」を構築することです。
見積もりコストを把握するためには、まず現状を数値化することが重要です。
確認したい項目としては、
・1件あたりの作業時間
・担当者ごとの人件費
・現地調査の移動時間
・交通費や通信費
・協力会社への依頼回数
・月間見積件数
・受注率
などがあります。 これらを集計するだけでも、自社がどれだけの時間と費用を見積もり業務に投入しているかが見えてきます。
実際に計算してみると、「思った以上にコストがかかっていた」という声は少なくありません。 見積もりは売上を生むために必要な業務ですが、同時に経費でもあります。だからこそ、効率化による改善効果が見えやすい分野でもあります。
建設業では材料費や外注費の高騰が続いています。そのため利益を増やすには売上拡大だけでなく、間接業務の見直しも欠かせません。 見積もり業務はほぼ毎日行なわれるため、1件あたり30分短縮できるだけでも年間では大きな効果になります。
また、受注確度の低い案件を見極めることも重要です。すべての案件に同じ労力をかけるのではなく、利益が見込める案件へ時間を集中させることで経営効率は大きく向上します。
見積もりを単なる事務作業ではなく「利益管理の入口」として捉えることが、これからの建設業経営に求められています。
見積もりは無料で提供されることが一般的ですが、その裏では人件費や移動費、積算作業など多くのコストが発生しています。1件あたりのコストを把握し、業務の効率化や受注率の改善に取り組むことは、利益向上への近道です。
まずは自社の見積もり作成にどれだけの時間と費用がかかっているのかを見える化することから始めてみてはいかがでしょうか。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。