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「公共工事を受注したいけど、経審(経営事項審査とは:建設業者が公共工事を受注する際に必要となる、経営状況・経営規模・技術力などを国が定めた基準で点数化する審査制度)の点数がなかなか上がらない……」そんな悩みを抱えている中小建設会社の経営者や総務担当者は少なくありません。
実は、経審の総合評定値(P点)は、正しい知識と地道な取り組みの積み重ねによって着実に引き上げることができます。この記事では、経審スコアを上げるために中小建設会社がすぐに着手できる具体的な対策と、やりがちな落とし穴をわかりやすくまとめました。
経審の総合評定値(P点)は、主に以下の4つの指標から算出されます。
W点(経営規模):完成工事高・自己資本額・利払前税引前償却前利益(EBITDA)などで評価
X2点(自己資本額・利益額):財務的な安定性を示す指標
Y点(経営状況):経営状況分析機関による財務分析スコア
Z点(技術力):技術職員数・元請完成工事高などで評価
社会性等(W点内の加点項目)(社会性等とは:労働福祉の状況・建設業の営業継続状況・防災活動への貢献状況などを点数化した項目):各種加点項目が含まれます
中小建設会社が点数を伸ばしやすいのは、Z点(技術力)と社会性等(W点内の加点項目)の部分です。大手に比べて完成工事高での差がつきやすい反面、こうした加点の積み上げは規模に関係なく取り組めます。
Z点は「技術職員数」と「元請完成工事高」によって決まります。特に中小企業にとって伸ばしやすいのが技術職員の資格取得支援です。
施工管理技士の資格を持つ職員が増えると、Z点の押し上げ効果が高くなります。特に1級施工管理技士は2級よりも高い係数が設定されており、1名増えるだけでも点数に大きく影響します。
また、監理技術者の資格を持つ職員が在籍しているだけでも加点対象になります。資格取得費用の補助制度を整えることが、点数アップへの近道です。
社会性等の項目は「知っていれば取れる加点」が多いにもかかわらず、中小建設会社では申請漏れがよく起きます。代表的な加点対象を確認しておきましょう。
建退共(建設業退職金共済制度)への加入:加入しているだけで加点。未加入の場合はすぐに手続きを
退職一時金制度・企業年金制度の整備:就業規則に明記しているかどうかも審査対象
法定外労働災害補償制度への加入:民間の上乗せ労災保険なども対象
建設業経理士の在籍(建設業経理士とは:建設業の経理処理に関する専門知識を証明する民間資格で、1級・2級がある):1級・2級の取得者数に応じて加点
ISO認証の取得(ISO認証とは:国際標準化機構が定める品質・環境管理などの国際規格の認証):ISO9001・ISO14001などが対象
防災協定の締結:自治体や業界団体との協定締結も評価される
これらは費用対効果が高く、比較的短期間で整備できる項目です。自社の状況を一覧にして、まず「取れていない加点」を洗い出すことから始めてみてください。
Y点は外部の経営状況分析機関が財務諸表をもとに算出するスコアです。主に純支払利息比率・負債回転期間・売上高経常利益率・自己資本対固定資産比率などが評価されます。
中小建設会社が特に注意したいのは、決算書の内容そのものがスコアに直結するという点です。例えば、短期借入金が多い・未収金が大きい・棚卸資産が過大といった状態が続くと、Y点の足を引っ張ります。
決算期前に顧問税理士や行政書士と一緒に「経審を意識した決算対策」を実施することが重要です。節税目的の対策と経審対策が相反するケースもあるため、どちらを優先するかを事前に整理しておきましょう。
経審の点数を上げようとして、かえって審査に悪影響を与えてしまうケースもあります。よくある失敗例を紹介します。
【失敗例1】技術者の在籍実態が不明確
審査基準日(決算日)に実際に在籍していない技術者を申告すると、虚偽申告として処分対象になります。退職者・出向者の扱いは特に注意が必要です。
【失敗例2】完成工事高の計上ミス
工事の完成・引き渡しが決算期をまたぐ場合の売上計上タイミングを誤ると、実態と異なるW点になってしまいます。工事台帳(工事台帳とは:受注した工事ごとの収支・進捗を管理する帳票)の整理を日常的に行いましょう。
【失敗例3】加点書類の準備漏れ
建退共の加入証明書・各種保険の証明書・資格証のコピーなど、必要な書類を審査直前に慌てて集めようとすると、間に合わないことがあります。年間を通じて書類を整理するルーティンを作ることが重要です。
経審の点数アップは、一夜漬けでは実現できません。しかし、社会性等の加点を漏れなく取る・資格取得を支援する・決算対策を早めに行うという3つの柱を地道に積み重ねることで、中小建設会社でも着実にスコアを伸ばすことができます。まずは自社の現状を棚卸しするところから始めてみてください。
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