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「仕事が終わってから次の出勤まで、何時間空いていますか」。この問いが、近い将来ルールとして問われるかもしれません。
厚生労働省は令和8年10月14日、第212回労働政策審議会労働条件分科会(労働政策審議会とは:労働者側・使用者側・公益の委員が労働政策について話し合う厚生労働省の審議会)を開き、勤務間インターバル制度(勤務間インターバル制度とは:終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組み)の「法的位置付け」を論点として示しました。
先に結論をいうと、制度の中身はまだ決まっていません。ただし、11時間という数字を軸に議論が進んでいることは資料から読み取れます。今のうちに自社の働き方を点検しておくことをおすすめします。
勤務間インターバルは、平成31年4月1日から労働時間等設定改善法にもとづく努力義務(努力義務とは:措置を講ずるよう努めることを事業主に求めるもの)となっています。
今回の分科会資料では「より実効性ある導入促進のために、法的位置付けを含め、どのような措置を講ずべきか」が論点とされました。背景には、令和8年7月21日に閣議決定された日本成長戦略や骨太の方針2026を踏まえ、労働時間法制を労働政策審議会で議論する方針が示され、その検討項目に勤務間インターバル制度の法的位置付けが挙げられたことがあります。
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76683.html)
厚労省の就労条件総合調査をもとにした資料によると、制度を導入している企業の割合は平成29年の1.4%から令和7年には6.9%へ増えたものの、「導入予定はなく、検討もしていない」企業が78.7%を占めています。規模別では1000人以上が20.1%に対し、30~99人は6.1%にとどまります。
導入しない理由で最も多いのは「超過勤務の機会が少なく必要性を感じない」の57.3%で、「制度を知らなかった」も19.9%(30~99人では23.9%)ありました。
また、すでに導入している企業を対象にした調査では、設定時間が11時間以上の企業は全産業で約45%(11~12時間未満35.8%、12時間以上9.1%)でした。一方、建設業では9~10時間未満が44.0%と最多で、11時間以上は合わせて8.8%にとどまります。もし11時間が基準になれば、導入済みの建設会社でも見直しが必要になる可能性があります。

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76683.html)
資料に整理された主な意見を見ると、労働者側は諸外国で11時間が原則であることを踏まえ、11時間の義務化を検討すべきだと主張しています。資料でも、EU労働時間指令、イギリス、フランス、ドイツが1日11時間の休息を定めていることが紹介されています。
これに対し使用者側は、原則11時間のような画一的な規制には反対の立場です。受注型の企業や下請企業では突発的に業務が発生することや、中小企業は発注元の急な要請に対応せざるを得ない場面が多いことを挙げ、猶予期間や経過措置を設けて段階的に進めるべきだとしています。
過労死等防止対策大綱(過労死等防止対策大綱とは:過労死を防ぐための国の基本方針)の「導入企業割合を15%以上とする(令和10年度まで)」という目標の達成を優先すべきとの意見もあります。
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76683.html)
資料に収録された労働基準関係法制研究会の報告書では、制度の考え方として次のような案が示されています。
・11時間を原則としつつ、適用除外や確保できなかった場合の代替措置を柔軟に決める
・11時間より短い時間としつつ、柔軟な対応は絞る
・経過措置を設け、全面施行までに一定の期間を置く
代替措置については、健康観察などではなく代償休暇など労働からの解放を確保するものが望ましいとの考え方も示されました。
なお、厚労省の資料では、23時まで残業した場合に翌日の始業を8時から10時へ繰り下げて11時間の休息を確保する例が紹介されています。現場の夜間作業や工期前の残業が翌朝の段取りに直結する建設業では、影響が出やすい仕組みといえます。
1つ目は、終業から始業までの実際の時間を記録して把握することです。今回の分科会では労働時間の把握も論点となっています。
2つ目は、厚労省の導入・運用マニュアルにある検討項目(適用対象、時間数、確保できなかった場合の対応など)に沿って、自社のルール案を考えておくことです。
3つ目は、急な残業が特定の人に集中しない体制づくりです。資料で紹介された建設業の事例では、全従業員を対象に11時間のインターバルを設け、確保できないときは勤怠システムで本人と上司にアラートを出し、話し合う運用をしています。その結果、所定外労働時間が減少し、生産性向上につながったとされています。
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76683.html)
勤務間インターバルの義務化をめぐる議論は始まったばかりで、時間数や施行時期は未定です。それでも、休息時間を確保できる会社であることは、人材の確保や定着にもつながります。制度が固まる前に、自社の働き方を点検しておきましょう。
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出典:第212回労働政策審議会労働条件分科会 資料(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76683.html)をもとに作成
出典:第211回労働政策審議会労働条件分科会
資料No.2-1「労働条件分科会における今後の議論の進め方(案)について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001749947.pdf)をもとに作成
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