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「手元募集。常用中心、日給月給、直行直帰あり」。建設業の求人票ではよく見かける書き方ですが、製造業や運送業、飲食業などから転職を考えている人にとっては、どんな仕事で、どう給料が支払われるのか分からない文章になっている可能性があります。人手不足が続く中、異業種出身者は貴重な採用ターゲットです。
本記事では、採用の入り口で起きている「言葉の行き違い」と、その防ぎ方を考えます。
たとえば、求人票に「手元(手元とは:職人のそばで材料運びや片付けなどの補助作業を担う人)募集」とだけ書いた場合、建設業を知らない求職者は仕事内容を具体的にイメージできません。「手元」という言葉自体を知らなければ、検索で求人にたどり着くことすら難しくなります。
面接での説明にも落とし穴があります。「最初は常用(常用とは:工事を一式で請け負うのではなく、1日単位の日当で人手を提供する働き方)が多くて、人工(人工とは:作業員1人が1日働く作業量を表す単位)で計算するから」と説明しても、相手はうなずくだけで理解していないことがあります。その結果、入社後に「聞いていた話と違う」と感じ、早期離職につながるケースも少なくありません。
※画像はイメージです
業界用語が通じない原因は、求職者の知識不足ではありません。採用する側が、相手も業界の常識を知っている前提で書き、話していることにあります。特に給与や働き方に関わる言葉は、異業種の人にとって最も気になる部分でありながら、最も伝わりにくい部分です。
代表的なのが「日給月給」(日給月給とは:日給をもとに、働いた日数分を月ごとにまとめて支払う給与形態)です。月給制に慣れた人は「月給」の文字から固定給を想像し、雨天中止で収入が減る仕組みを想定していないことがあります。
また「野丁場」(野丁場とは:ゼネコンが元請けとなる大規模な工事現場)と「町場」(町場とは:個人住宅など比較的小規模な工事現場)の違いも、仕事の進め方や現場の雰囲気を左右する重要な情報ですが、言葉だけでは伝わりません。
求人票を見直すうえで押さえておきたいのが、2024年4月1日に施行された改正職業安定法施行規則です。この改正により、労働者の募集時に明示すべき労働条件として、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準などが追加されました。
建設業では現場ごとに働く場所が変わるのが一般的です。「直行直帰」(直行直帰とは:会社に立ち寄らず自宅から現場へ直接向かい、作業後そのまま帰宅すること)が多いのか、どの範囲の現場に行く可能性があるのかを分かりやすく示すことは、法令対応であると同時に、入社後のミスマッチを防ぐ情報提供でもあります。
まずは求人票の業界用語を、一般の言葉に置き換えることから始めましょう。「手元募集」は「職人の補助作業(材料運び・片付け・簡単な作業)からスタート」、「日給月給」は「日給制(働いた日数分を毎月まとめて支給。雨天などで休工の日は支給なし)」のように、具体的な行動と支払いの仕組みが分かる書き方にします。
次に、完成した求人票を建設業以外の人に一度読んでもらうのも有効です。家族や事務担当者が読んで意味が分からない言葉は、求職者にも伝わらないと考えてよいでしょう。
面接では、1日の流れを時系列で説明すると理解が深まります。集合時間、移動、作業内容、休憩、終了時刻までを具体的に伝え、最後に「分からない言葉はありましたか」と確認するひと言を添えることで、入社前の不安を減らし、定着率の向上にもつながります。
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業界用語は現場では便利な共通言語ですが、採用の場面では異業種からの応募者を遠ざける壁にもなります。求人票と面接の言葉を見直すことが、人材確保の確かな第一歩です。
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参考:「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf)
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