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建設業における採用活動は、単に人材を確保するだけでなく、地域との信頼関係づくりと結びつけることで、若手の定着率向上や企業ブランディングにもつながる。静岡県浜松市の総合建設会社、常盤工業株式会社が実施する「町民と共に祝う内定式」は、その象徴的な取り組みといえる。地域住民を巻き込んだ人事イベントは、建設業の経営者や人事担当者にとって参考になる事例だ。
常盤工業株式会社は、所在地である新津町の町民と共に祝う内定式を9月26日に開催すると発表した。2027年4月入社予定の新卒3名と新津町自治会、町民、社員の計60名程度が参加する予定だ。同社はこれまで新津町自治会との災害時協定の締結や、神社の環境整備などを通じて地域と共に歩む企業活動を続けてきた。
『総合建設会社の常盤工業㈱は所在地である新津町民と共に祝う内定式を9/26(土)に行います。2027年4月に入社予定の新卒3名と新津町民の皆様にご参加いただき、自治会長からのご祝辞も賜ります。当社はこれまで、新津町自治会との災害時協定の締結や、神社の環境整備などを通じて、地域と共に歩む企業活動を続けてまいりました。今回の内定式は、次世代を担う新入社員が「地域に支えられ、共に歩む」という当社の企業姿勢を実感する機会として実施いたします。また、当日は地域住民の皆様と合同で災害訓練も行い、協定内容の理解促進と地域の防災力を高めることを目指します。』
引用元:常盤工業株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
建設業は道路工事や造成工事などで、地域住民の生活に近いところで仕事をする機会が多い。そのため、工事に伴う騒音や交通規制など、地域に負担をかける場面も少なくない。人材確保の観点からも、地域からの理解と信頼を得られるかどうかは、企業イメージや採用活動の成果に直結する要素となる。
常盤工業は、こうした課題に対して神社や社屋周辺の清掃活動、災害協定締結といった地道な取り組みを重ねてきた。今回の内定式は、これまで社内のみで実施していたものを昨年から地域住民にも開放する形に変更した点が特徴だ。新入社員が地域に支えられて働く意義を実感する機会とすると同時に、地域とのつながりを強める狙いがある。
内定式に先立ち、同日10時40分から11時40分まで合同災害訓練も実施される。訓練内容は社屋の一時避難所見学、井戸水の取水・試飲、AED体験、社員用の未利用災害備蓄品や太陽光発電・電気自動車からの給電の見学などだ。この取り組みは昨年に続き3回目の開催となる。
常盤工業と新津町自治会は2024年3月に災害協定を締結している。協定の内容は、社屋の会議室などを避難所として開放すること、井戸水の提供、太陽光発電や電気自動車からの電力供給、社員用の未利用災害備蓄品の提供の4点だ。本社社屋「ときポート」は太陽光や地下水などの自然エネルギーを活用した環境配慮型のZEBオフィスとして運用されており、省エネ大賞やSDGs建築賞などを受賞している。訓練を通じて、地下水の取水方法や運搬手段(高齢者世帯は重くて運べないなど)といった実務上の課題を関係者が共有し、改善を重ねることで、実効性のある災害協定に育てる方針だという。
引用元:常盤工業株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
常盤工業の事例から、中小建設会社が自社の人材採用や地域貢献活動に取り入れられる工夫がいくつか見えてくる。まず、内定式や入社式といった社内行事を地域住民に開放することで、企業の存在意義を新入社員に伝えると同時に、地域からの認知度向上にもつなげられる点だ。特に建設業のように地元での評判が採用活動に影響しやすい業種では、地域住民との接点を意図的につくる工夫が有効といえる。
次に、災害協定の締結と定期的な訓練実施は、単なるBCP対策にとどまらず、地域からの信頼獲得や企業ブランディングにも寄与する。建設業は災害復興の主力を担う立場にあることから、平時から地域と連携体制を築いておくことが、有事の際の対応力向上だけでなく、日常的な企業評価の向上にもつながる。
常盤工業の取り組みは、採用活動と地域貢献、防災対策を一体的に設計することで、企業と地域の双方に価値をもたらす好例だ。人手不足が続く建設業界において、地域との結びつきを強める施策は、若手の定着や企業イメージ向上にも波及する可能性がある。自社の状況に合わせて取り入れられる要素がないか、検討してみる価値があるだろう。
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