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受注が増えることは会社にとって喜ばしいことだ。しかし、職人や現場代理人(現場代理人とは:施工現場において元請業者を代理して工事全体を管理する責任者)の数には限りがある。複数の案件が同時進行すると、施工日程の重複・材料手配の遅延・外注先の確保漏れといった問題が連鎖的に発生し、最悪の場合は工期遅延や品質トラブルに発展する。
特に中小の電気工事会社では、受注の判断を経営者や営業担当が個別に行ない、現場の状況と情報が連動していないケースが多い。「受けてしまってから調整が効かない」という状況を防ぐには、受注前に確認すべき項目を社内で明確にしておくことが重要である。
本記事では、受注管理において見落としがちな4つのチェックポイントを解説する。
新規案件の打診を受けた段階で、まず行なうべきは施工期間の仮設定と必要人員の試算だ。なんとかなる」という感覚で受注すると、繁忙期に職人が足りなくなる事態を招く。
確認すべき内容は、施主・元請から提示された工期の開始日と完了日、各工程(幹線工事・盤据付・器具取付・検査立会など)に必要な職人の種別と人数、そして自社で対応できる職人が当該期間に何人確保できるかの3点だ。この段階で人員の不足が見込まれる場合は、協力会社への外注を視野に入れた上で受注判断を行う必要がある。
受注後に「人が足りない」と気づいても、外注先の手配が間に合わないことも珍しくない。
※画像はイメージです
受注判断を誤るもうひとつの原因は、現在進行中の案件状況が「見える化」されていないことだ。経営者の頭の中だけで管理している会社では、どの現場にいつ誰が入っているかが即座に把握できず、重複を見落とすリスクがある。
最低限必要なのは、案件名・施工期間・投入人員・担当者を記載した一覧表だ。ExcelやGoogleスプレッドシートで作成し、社内で常に最新状態を共有するだけでも、案件重複の発見が格段に早くなる。
さらに一歩進めるならば、工程管理ツール(工程管理ツールとは:各工事の工程・担当者・進捗をカレンダー形式等で一元管理するソフトウェア)を導入することで、月単位・週単位での人員の埋まり具合を視覚的に把握できる。現場代理人と事務担当が同じ情報にアクセスできる環境を整えることが、受注ミスを防ぐ基本となる。
電気工事では、分電盤・ケーブル・照明器具・コンセントボックスなど、多岐にわたる材料を扱う。近年は半導体不足や物流コストの上昇を背景に、特定資材の納期が長期化するケースが続いており、受注後に材料が間に合わないという事態が起きやすくなっている。
受注前の段階で、主要材料の代理店在庫状況と標準納期を確認しておくことが重要だ。特に特注品や長尺ケーブルは発注から納品まで数週間かかる場合もある。
外注先(協力会社)については、繁忙期が重なると同業他社と取り合いになるため、複数の外注先と平時から関係を構築しておくことが不可欠だ。特定の1社にしか頼めない状況は、リスクを抱えたまま経営していることと同義である。
受注管理の最終的な問題は、「どこまで受けてよいか」の基準が曖昧なまま運営されていることだ。経営者が現場の状況を把握しきれずに案件を受け続け、現場担当者が疲弊するという構図は、中小の電気工事会社では珍しくない。
改善策として有効なのは、月ごとの受注上限を数値で設定することだ。「今月はあと〇人工しか余裕がない」という共通認識を持てれば、営業サイドと現場サイドの連携が取りやすくなる。
また、繁忙期(年度末・夏季改修など)に向けた受注スケジュールをあらかじめ立てておくことで、閑散期に受注を前倒しするなどの調整も可能になる。こうした仕組みを整えることが、持続可能な会社経営につながる。
電気工事会社における受注管理の失敗は、「仕事を取りすぎた」ことではなく、「取る前に確認しなかった」ことに起因する場合がほとんどだ。工期と人員の試算、案件一覧の共有、材料・外注先の事前確認、そして受注上限の明文化という4つの習慣を社内に根付かせることで、無理のない受注体制を構築できる。
受注機会を逃さないためにも、まずは「現状の見える化」から着手してほしい。
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