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「真面目に人を育て、待遇を良くしている会社ほど評価される仕組み」へ。国土交通省が、建設企業の評価制度そのものを見直す議論を本格的に進めています。舞台となっているのは、「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」の下に設けられた「企業評価ワーキンググループ」(以下、WG)です。
結論から言えば、公共工事を受注する会社にとって欠かせない経審の中身や、評価結果の使われ方が変わる可能性があります。今のうちに自社の評価内容を点検しておくことが、将来への一番の備えになります。
国土交通省の発表によると、第2回WGは令和8年10月21日(水)10時~12時に中央合同庁舎2号館で開催されました。主な議題は「第1回WGにおける主なご意見」「企業評価に係るアンケート・ヒアリング調査について」「今後のスケジュール」の3つです。
続く第3回は10月26日(月)の開催が発表されており、こちらも調査に関する議論が予定されています。
WGの検討対象は、経営事項審査(経営事項審査とは:公共工事の入札に参加する建設業者の経営規模や技術力などを客観的に点数化する審査)や、専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度(見える化評価制度とは:専門工事会社の施工能力などを☆1~4の4段階で評価する国の制度)などです。これらを検証したうえで、新たな評価の観点や評価結果の活用策を検討するとしています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00078.html)
背景には、2017年にとりまとめた「建設産業政策2017+10」から間もなく10年を迎えることがあります。WGの資料では、企業評価制度を通じて実現すべきこととして次の3点が示されました。
・あるべき産業像と、その実現のための施策の実効性確保
・真面目に処遇改善や生産性向上に取り組む企業が評価される環境の構築
・産業全体の成長促進
また、評価項目の候補として「処遇改善の取組(賃金の水準や制度等)」「労務管理や従業員教育」「DX推進等の生産性向上の取組」「所属する技術者の能力・実績」などが挙げられています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00078.html)
資料によると、経審の受審企業数は134,031社、建設業許可業者数は483,823社です。経審の総合評定値P(総合評定値Pとは:各審査項目を重み付けして合計した、経審の最終的な点数)は「0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」で計算されます。
このうちW点(W点とは:担い手の育成・確保、防災活動への貢献、法令遵守など「社会性等」を評価する項目)は、最高2,073点、最低マイナス788点と幅が広いのが特徴です。令和8年7月以降の申請からは、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言状況が5点の加点項目として加わりました。
さらに、CCUS(CCUSとは:建設キャリアアップシステム。技能者の資格や就業履歴を業界共通で登録・蓄積する仕組み)を全ての公共工事で実施した場合は5点、民間工事を含む全ての工事で実施した場合は10点の加点となっています。CCUSには189万人の技能者と31.5万社が登録しています(2026年7月末時点)。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00078.html)
第1回WGで示されたスケジュールでは、11月に「新たに評価すべき観点」、12月に「評価結果の活用方策」を議論し、年度内にWGとしての検討結果をとりまとめる予定です。親会議である検討会は、令和9年夏頃のとりまとめを予定しています。
議論の方向性を見ると、賃金や教育、DXといった「人と働き方への投資」がこれまで以上に評価の軸になる可能性があります。評価結果の活用策も論点となっているため、点数が入札だけでなく、取引先選びや人材確保の場面で見られる時代が来ることも考えられます。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00078.html)
制度の結論はまだ出ていませんが、準備はすぐに始められます。
・直近の経審結果を見直し、W点のどの項目で加点できていないかを確認する
・CCUSへの登録や現場での活用状況を点検する
・自主宣言制度など、すでにある加点項目の対象になるか確認する
・賃金や研修制度など、処遇改善の取組を社内で記録・整理しておく
こうした積み重ねは、制度がどう変わっても会社の強みとして説明しやすくなります。
国交省の企業評価WGは、年度内のとりまとめに向けて議論を重ねています。「真面目に取り組む会社が報われる」評価への転換は、人を大切にしてきた中小企業にとって追い風にもなり得ます。今後の資料公表にも注目しておきましょう。
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出典:「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会 第2回 企業評価ワーキンググループ」開催について(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00364.html)、第1回企業評価ワーキンググループ配付資料(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00078.html)をもとに作成
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