記事を読み込み中です
2028年度に建築物のライフサイクルカーボン(LCA)を算定・評価する新制度が始まります。今は大規模事務所に係る届出制度が中心ですが、建材の調達や施工のやり方そのものが評価対象になる以上、いずれ中小の工事会社・一人親方にも無関係ではいられなくなります。今のうちに「何が決まりつつあるか」を知っておくことが大切です。
国土交通省は令和8年11月9日、「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」の第9回を開催します。この検討会は、2028年度の制度開始に向けて具体的な制度設計を議論する場で、すでに9回目を迎えています。会議はTKP新橋カンファレンスセンターで開催され、YouTubeでも配信されます。
※画像はイメージです
この制度のもとになっているのは、令和8年7月に成立した改正建築物省エネ法です。この法律により「建築物ライフサイクルカーボン評価制度」が創設されました。
「建築物LCA(ライフサイクルアセスメント)」とは、建築物の計画から解体までのライフサイクル全体で排出されるCO2を含む環境負荷を算定・評価することです。従来の省エネ性能(使用段階の省エネ)だけでなく、建材の製造・輸送・施工・解体までを含めて評価する考え方です。日本のCO2排出量の約40%を建築物分野が占めているため、このライフサイクル全体での削減が求められています。
2028年度に開始されるのは、まず大規模事務所に係る届出制度です。検討会では、この届出制度の運用に向けて、ライフサイクルカーボンの統一的な算定ルールや、建材・設備のCO2排出量の「原単位」(原単位とは:材料や工程ごとのCO2排出量を数値化した基準値のこと)の整備について議論が進んでいます。
※画像はイメージです
第9回検討会の議事は、「前回までの議論について」「各検討事項における対応案について」「意見交換」の3本立てでした。検討項目は大きく、建築物LCAの実施を促す措置、ライフサイクルカーボンの表示を促す措置、LCAに用いる原単位の整備の3つです。
注目したいのは、オブザーバーとして85団体が参加している点です。建築主・設計者・施工者に加え、セメント協会、鉄鋼連盟、木材組合連合会、サッシ協会など、建材を製造するほぼすべての業界団体が名を連ねています。これは、将来的にこの制度が建材選定の基準そのものに影響する可能性を示しています。施工者側のオブザーバーには、全国建設業協会や全国建設労働組合総連合、JBN・全国工務店協会も含まれており、中小・工務店クラスの事業者も視野に入れた制度設計であることがうかがえます。
※画像はイメージです
現時点で2028年度に始まるのは大規模事務所の届出制度であり、すぐに中小規模の工事や住宅工事に義務が課されるわけではありません。ただし、制度の土台となる「統一的な算定ルール」や「建材・設備のCO2排出量原単位」は、建材メーカー各社が足並みを揃えて整備している最中です。
つまり、今後は建材一つひとつに「どれだけCO2を排出して作られたか」という数値が付いてくる時代が来ます。元請けやゼネコンから、使用建材のCO2排出量データの提出を求められる場面が増えていく可能性があります。特に公共工事やビル建設に関わる下請け事業者は、こうした動きを早めに把握しておくと、将来の対応がスムーズになります。
まず、自社が普段使っている主要な建材のメーカーや工業会が、この検討会にオブザーバーとして参加しているかを確認してみてください。別紙のオブザーバー名簿には、セメント、鉄鋼、木材、サッシ、断熱材など主要な建材カテゴリーがほぼ網羅されています。自社の取引先が含まれていれば、今後その建材メーカーからCO2排出量に関する情報提供が増えていく可能性が高いです。
また、国交省のホームページでは検討会の資料や議事要旨が後日公開されます。中間とりまとめ(令和8年1月公表)も既に出ており、制度のロードマップが示されています。元請けから制度対応について問い合わせを受けたときに慌てないよう、資料に一度目を通しておくことをお勧めします。
建築物LCA制度は2028年度にまず大規模事務所の届出制度として始まりますが、その土台となる建材のCO2排出量データ整備は、今まさに進行中です。中小の工事会社も、取引先の建材メーカーの動向を通じて、いずれこの流れに巻き込まれていきます。今のうちから情報を追っておくことが、後々の対応の差になります。
建築物のカーボン評価制度のように、今後の受注環境や元請けとの取引条件に影響しうる動きを早めにキャッチするには、情報収集とあわせて協力会社とのつながりづくりも欠かせません。人手や協力会社探しには、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』をぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:「第9回 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会を開催します~2028年度制度開始に向けて、具体的な制度設計の方向性について議論します~」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001371.html をもとに建設円陣PLUS編集部作成
➡関連記事:つくば74haデータセンター用地、地元建設会社に広がる受注のチャンス
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。