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建築士の資格は、これまで「学校を卒業し、実務を積んでから受けるもの」でした。その前提が変わります。大学などに在学中でも一級建築士試験を受けられるようにする改正建築士法が成立し、国土交通省は試験の具体的なルールを決める議論を始めました。
この記事では、法改正で何が変わるのか、現場で人を育てる中小企業にとってどんな意味があるのかを、国の公表資料をもとに整理します。
今回の改正のポイントは、建築士になるまでの「待ち時間」を短くすることです。
在学中受験に加えて、受験や免許登録に必要な実務経験の年数も見直されました。社員が資格を取るまでのスケジュールが早まるため、採用や育成の計画に直接関わる変更といえます。
※画像はイメージです
改正法は令和8年7月24日に参議院本会議で全会一致により可決・成立し、7月31日に法律第74号として公布されました。参議院の議案要旨によると、主な内容は次のとおりです。
・一級建築士試験の在学中受験
試験が行われる年度の末日までに卒業する見込みがあり、国土交通大臣が指定する建築科目の単位を修得している大学等の在学者は、一級建築士試験を受けられます。
・二級建築士・木造建築士試験の在学中受験
大学等に加え、高等学校等の在学者も、同様の条件で受験できるようになります。
・二級から一級へのステップアップ
二級建築士になる前の経験を含めて実務経験が8年以上あることなどを条件に、一級の免許に必要な二級建築士としての実務経験が4年から2年に短縮されます。
・二級建築士・木造建築士の免許に必要な実務経験
現行の7年から4年に短縮されます。
あわせて、建築士が行なう設計受託契約・工事監理受託契約のすべてを書面契約の対象とすることや、報酬の算定根拠を示す見積書の作成の努力義務も盛り込まれました。法律は一部の規定を除き、公布の日から3年以内の政令で定める日から施行されます。
項目 |
改正前 |
改正後 |
|---|---|---|
一級建築士試験の受験 |
卒業後 |
在学中も可(卒業見込み+指定科目の単位修得) |
二級・木造建築士試験の受験 |
卒業後 |
大学等・高等学校等の在学中も可 |
一級の免許に必要な二級としての実務経験 |
4年 |
2年(通算8年以上などが条件) |
二級・木造の免許に必要な実務経験 |
7年 |
4年 |
推奨キャプション:出典:参議院ウェブサイト(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221090221038.htm)をもとに作成
法律で枠組みは決まりましたが、どの単位を修得すれば受験できるのかといった運用の詳細はこれからです。
国土交通省は、中央建築士審査会(中央建築士審査会とは:建築士法第28条に基づき設置され、一級建築士試験や懲戒処分などを審議する国の機関)のもとに「一級建築士試験制度の見直しに関する小委員会」を設け、令和8年10月19日に第1回会合を開きました。議事は「一級建築士試験制度の見直しについて」です。
この議論には前段もあります。同年6月9日の中央建築士審査会では、社会資本整備審議会建築分科会で議論されている「建築分野の中長期的なビジョン」を踏まえ、今後の一級建築士試験のあり方が審議されていました。なお、令和8年の一級建築士試験「学科の試験」は合格者7,619人、合格率26.2%で、狭き門であることに変わりはありません。
在学中に合格できる学生が出てくれば、入社時点で試験に合格している新卒が現れる可能性があります。資格取得を支援する制度を用意している会社は、対象者や時期の考え方を見直す必要が出てくるでしょう。
また、二級から一級を目指す社員にとっては、必要な年数が短くなる分、キャリアの見通しが立てやすくなります。契約面では、設計・工事監理の書面契約と見積書作成に関する改正の施行に向けて、10月6日に関係政令が閣議決定されています。
1.社員の実務経験を記録しておく
実務経験の年数が要件に関わるため、誰がいつ、どんな業務に携わったかを整理しておくと、受験や免許申請の準備がスムーズです。
2.資格支援制度を見直す
受験費用の補助や講習の受講時間の確保など、若手が早く受験に踏み出せる仕組みを検討しておきましょう。
3.契約書と見積書のひな形を整える
設計や工事監理を受託する事業者は、書面契約の範囲拡大と見積書の作成に備え、書式を確認しておくと安心です。
在学中受験の導入で、建築士への道は確実に早く、広くなります。小委員会での議論の行方を見守りつつ、若手が資格を取りやすい職場づくりを今から始めていきましょう。
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出典:中央建築士審査会一級建築士の見直しに関する小委員会(第1回)を開催します(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001155.html)、建築士法の一部を改正する法律案(参議院)(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221090221038.htm)、住宅関係報道発表資料(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/jutaku_news.html)をもとに作成
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