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「そろそろ会社の行く末を考えないといけない」。建設業を含む中小企業の経営者の中には、こうした思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。後継者が見つからない場合の選択肢として広がってきたのがM&A(M&Aとは:会社や事業を他社に譲り渡したり、他社から譲り受けたりする取引)です。
その中小M&Aの世界で、支援する人と事業者の双方に国のルールを設ける方向で議論が本格化しています。
中小企業庁は2026年10月29日、中小企業政策審議会の下に設けた中小M&A・事業承継小委員会の第1回会合を開きました。事務局資料では、個人に対する「資格制度」と、事業者に対する「認証/認定制度」を両輪として法制化してはどうかという案が示されています。
個人向けの資格は、M&A支援業務に必要な知識と倫理観を試験で確認し、合格者を登録する国家資格制度とする案です。あわせて名称独占(名称独占とは:資格を持たない人がその名称を名乗れない仕組み)とすること、更新制で継続的な研修受講を求めること、登録取消しや公表等の措置を設けることが論点に挙がっています。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/ma_shokei/001.html)
背景にあるのは、市場の急拡大と質のばらつきです。国は2021年8月からM&A支援機関登録制度(M&A支援機関登録制度とは:仲介やFA業務を行なう事業者を国が登録・公表する制度)を運用しており、2026年3月現在、約3,400者が登録しています。そのうちM&A専門業者(仲介・FA)は約1,200者です。
ただし現行制度は、中小M&Aガイドラインの遵守を「宣言」することが登録要件であり、資料では支援事業者の業務運営体制が十分に確認できる仕組みではないと指摘されています。さらに2024年以降、不適切な譲り受け側によるトラブルが発覚したことも示されました。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/ma_shokei/001.html)
資料によると、民間M&A支援機関を通じた中小M&Aは2025年度に5,236件に達し、年々増加しています。また、中小企業庁の資料では、東京商工リサーチの調べとして、休廃業・解散数は増加傾向にあり、その約半数は黒字企業であることが示されています。
2025年8月公表の「中小M&A市場改革プラン」では、経営者が60代以上で事業承継の意向が未定の法人企業が約26万者存在するとされています。黒字のまま廃業する会社を減らすためにも、安心して相談できる支援者の存在が欠かせません。
出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/ma_shokei/001.html)
資格制度に先立ち、中小企業庁は中小企業M&A実務能力・倫理検定を今年度からスタートする予定です。試験科目はM&A実務、財務・税務、法務、倫理・行動規範で、60問程度・CBT形式120分、総得点の70〜80%程度を合格基準とする想定です。ただし、検定の合格がそのまま法定資格の取得を意味するものではないとされています。
事業者向けの認証/認定制度では、資格保有者の配置などの業務運営体制を要件とし、国に報告徴収や改善命令、認証/認定取消しの権限を持たせる案も示されました。これらは年内に結論を得るべき論点とされ、第2回で骨子案、第3回で方向性案を議論する流れです。手数料の規律や契約時の説明責任の強化は、年明け以降も議論を続ける論点とされています。

出典:中小企業庁ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/ma_shokei/001.html)
制度が整うまでの間も、経営者自身ができることはあります。まず、相談先がM&A支援機関登録制度に登録されているかを確認すること。次に、手数料体系や支援実績の説明を事前に求めることです。登録要件には、契約締結時に顧客へガイドライン遵守を事前説明することが含まれています。
資料では、中小企業経営者に向けた周知・広報を通じたリテラシー向上も論点に挙がっています。「任せきり」にせず、自社の価値や譲り渡し後の従業員・取引先への影響を自ら整理しておくことが、納得のいく承継への第一歩です。
中小M&Aは、個人の資格と事業者の認証という二つの物差しで「支援の質」が見える時代へ向かおうとしています。年内に示される骨子案の動向に注目しつつ、自社の将来像を早めに描いておきましょう。
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出典:中小M&A・事業承継小委員会(第1回) 配布資料(中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/ma_shokei/001.html)をもとに作成
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