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建設業界では慢性的な人手不足が続いており、採用や定着のために賃上げを実施する企業が増えています。しかし、資材価格や燃料費の高騰、協力会社への支払い増加など経営環境は厳しく、昇給したくても原資の確保に苦労している会社も少なくありません。
そんな中、中小企業総合研究所が実施した2026年度の昇給予定実態調査では、多くの中小企業が昇給を予定していることが明らかになりました。今回はその調査結果をもとに、建設業の中小企業が今後どのように賃上げと向き合うべきかを考えてみます。
『約8割の中小企業が正社員への昇給・賃上げを予定しており、昇給対応は規模・業種を問わず広く定着している。一方、従業員0〜10人規模では約2割が「実施しない」と回答しており、小規模企業ほど対応が難しい実態が示された。』

『正社員の平均昇給率は「2%以上3%未満」が最多となり、「3%以上」の合計は約4割に達した。月給をベースとした昇給額では「5,000円以上10,000円未満」が最も多く、中小企業の昇給額におけるボリュームゾーンとなっている。』
引用元:株式会社エフアンドエム プレスリリース(PR TIMES掲載)
調査結果からは、昇給が特別な施策ではなく、多くの中小企業にとって標準的な経営判断になりつつあることが分かります。一方で、企業規模によって対応状況に差があり、小規模事業者ほど負担が大きい現実も浮き彫りになっています。
建設業は全産業の中でも特に人材不足が深刻な業界です。若手入職者の減少と高齢化が同時進行しており、多くの企業が採用活動に苦戦しています。 そのため、求人募集を出しても応募が集まらず、ようやく採用できても数年以内に離職してしまうケースも珍しくありません。
こうした状況の中で、給与水準は企業選びの重要な判断材料となっています。 実際に求職者の多くは、仕事内容だけでなく昇給制度や将来の収入見込みを重視しています。競合他社が昇給を実施している中で、自社だけが据え置きとなれば採用競争で不利になる可能性があります。
建設業においても、昇給は単なる人件費増加ではなく、人材確保への投資という側面が強くなっているのです。
建設会社が賃上げを難しく感じる理由の一つが、利益率の確保です。 近年は鋼材や木材、コンクリート関連資材などの価格上昇が続いています。さらに燃料費や輸送費、外注費も増加しており、経営コストは年々上昇しています。
本来であれば増加したコストを工事価格へ転嫁できれば問題ありません。しかし、実際には発注者との関係や競争環境の影響で十分な価格転嫁ができないケースも多くあります。 その結果、売上は増えていても利益が増えず、昇給原資の確保が難しくなっている企業が少なくありません。
また、最低賃金の上昇によって若手社員の給与を引き上げる必要がある一方で、ベテラン社員との給与差が縮まり、賃金体系全体の見直しを迫られるケースも増えています。
昇給を続けるためには、単純に給与を上げるだけでは不十分です。
まず重要なのが利益を確保できる受注体制の構築です。適正な見積提出や原価管理の徹底によって利益率を改善し、人件費増加に対応できる体質づくりが求められます。
次に必要なのが評価制度の整備です。昇給基準が曖昧なままでは従業員の納得感が得られません。技能レベルや保有資格、現場管理能力などを明確に評価し、昇給に反映する仕組みが重要になります。
さらにDX活用による業務効率化も有効です。事務作業や工程管理の効率化によって生産性を高めれば、人件費増加分を吸収しやすくなります。 賃上げを一時的な対応で終わらせず、継続的に実施できる経営基盤を整備することが今後の建設業に求められる課題といえるでしょう。
※画像はイメージです
2026年度の調査では、中小企業の約8割が昇給を予定していることが分かりました。建設業においても人材確保や離職防止の観点から賃上げの重要性はますます高まっています。一方で、価格転嫁の難しさや利益率の低下、賃金体系の見直しなど多くの課題も存在します。
今後は昇給そのものだけでなく、利益確保や評価制度整備、生産性向上を含めた総合的な経営改善が重要になります。人材が集まり、定着する会社づくりを進めることが、これからの建設業経営の大きな鍵となるでしょう。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。