建設業では慢性的な人手不足が続いています。その中で多くの経営者が悩むのが、「社員を採用するべきか、それとも協力会社へ依頼するべきか」という問題です。
一見すると、協力会社へ仕事を依頼した方が支払額は高く見えるため、社員を増やした方が安いように感じるかもしれません。しかし、実際には給与以外にも社会保険料や福利厚生、教育費など多くのコストが発生します。
一方、協力会社への依頼は単価が高くても固定費を抑えられるという特徴があります。 つまり、重要なのは「どちらが安いか」ではなく、「会社の利益を残せる選択はどちらか」という視点で考えることです。
社員採用は固定費が増える投資である
社員を一人採用すると、毎月の給与だけでなく、社会保険料や労働保険料、賞与、健康診断、資格取得支援、作業服、安全用品などさまざまな費用が発生します。さらに、新人の場合は教育期間が必要となり、すぐに利益へ結び付くとは限りません。
一方で、経験を積んだ社員は施工品質や生産性が向上し、会社独自の技術やノウハウも蓄積されます。長期的に見れば利益率の改善につながる可能性があり、人材育成は将来への投資ともいえます。
ただし、仕事量が減少した場合でも人件費は固定費として継続して発生するため、受注が不安定な会社では資金繰りへの影響も考慮しなければなりません。
協力会社活用は変動費として管理しやすい
協力会社を活用する最大のメリットは、必要な時だけ人員を確保できることです。 繁忙期や大型案件だけ依頼すればよいため、仕事が少ない時期には費用を抑えることができます。
人件費が固定費ではなく変動費になることで、資金繰りにも柔軟性が生まれます。 また、専門工事を得意とする協力会社へ依頼すれば、高い施工品質を維持しながら自社社員の負担も軽減できます。
一方で、繁忙期には応援単価が上昇したり、人手不足によって希望する日に依頼できなかったりすることもあります。外注費が利益を圧迫するケースもあるため、依存し過ぎには注意が必要です。
利益率で比較すると見え方が変わる
経営では支払額だけを見るのではなく、「利益がどれだけ残るか」を確認することが重要です。
例えば年間を通して安定した仕事があり、社員が十分に稼働できるのであれば、社員採用の方が一人当たりの利益率は高くなる可能性があります。 反対に、繁忙期と閑散期の差が大きい会社では、人件費を固定費として抱えるよりも、協力会社を活用して変動費化した方が利益を確保しやすくなるケースがあります。
会社ごとの受注状況や売上構成を分析し、人件費率や外注費率を定期的に確認することが、健全な経営につながります。
資金繰りの視点も忘れてはいけない
建設業では工事代金の入金まで数か月かかることも珍しくありません。そのため、毎月発生する給与は会社の資金繰りへ直接影響します。
一方、協力会社への支払いも工事代金より先に発生する場合があり、外注費が増えすぎると資金不足を招くことがあります。 つまり、社員採用と協力会社活用はどちらにも資金面のリスクが存在します。
受注予測やキャッシュフローを確認しながら、無理のない人員計画を立てることが大切です。
※画像はイメージです
最適なのは「組み合わせる経営」
多くの中小建設会社では、自社社員だけ、あるいは協力会社だけで現場を回すのではなく、それぞれの強みを組み合わせています。 基幹となる職人や現場管理は社員が担当し、繁忙期や専門工事は協力会社へ依頼することで、人件費と外注費のバランスを取りながら利益を確保できます。
また、信頼できる協力会社とのネットワークを日頃から築いておくことで、急な受注や人員不足にも柔軟に対応しやすくなります。
固定費と変動費を適切にコントロールすることが、安定した経営への近道と言えるでしょう。
まとめ
社員採用と協力会社活用は、どちらが優れているというものではありません。大切なのは、自社の受注量や利益率、資金繰りを踏まえて最適な人員構成を考えることです。
固定費を増やす社員採用と、変動費として活用できる協力会社。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることで、利益を確保しながら安定した経営を目指しましょう。
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