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「それ、誰が頼んだ仕事ですか?」 そう聞かれると、答えに困る業務が建設会社には意外とあります。
たとえば、現場が終わった後に毎日同じ写真を整理する、担当者が自分用に進捗をまとめ直す、電話で確認した内容を別のノートにも書く、過去の資料を探すために共有フォルダを何度も開く――。どれも一つひとつは小さな作業です。しかし、毎日、毎週と積み重なると、会社にとって無視できない時間になります。
重要なのは、「その仕事をしている人が悪い」のではありません。むしろ、責任感のある人ほど、誰かに頼まれなくても「念のため」「自分がやったほうが早い」と仕事を抱え込みがちです。
建設会社の業務改善では、まず「必要な仕事」と「昔から続いている仕事」を分けて考えることが大切です。
現場では、情報の行き違いを防ぐために確認や記録が欠かせません。一方で、同じ情報を複数の場所に残しているケースもあります。
たとえば、工程変更を電話で聞き、手帳に書き、事務所に戻ってExcelへ入力し、さらに社内の連絡ツールへ投稿する。この流れが必要な場合もありますが、「誰かが見るから」という理由だけで続いているなら、一度見直す余地があります。
特に中小企業では、担当者が長年の経験から独自の確認表やメモを作り、それがいつの間にか「会社のルール」のようになっていることがあります。本人にとっては便利でも、他の人には存在すら知られていない。そんな仕事は、担当者が休んだときに初めて問題になります。
業務改善というと、いきなり新しいシステムを導入することを考えがちです。しかし、最初に必要なのは道具ではありません。 一週間だけでも、「毎日やっている仕事」を書き出してみましょう。
そして、それぞれについて「誰が使うのか」「何のために必要なのか」「やらなかったら何が困るのか」を確認します。 ここで、「特に誰も使っていない」「昔からやっている」「自分が不安だから」という答えが出た業務は、見直し候補です。
さらに、「やめる」「回数を減らす」「まとめて処理する」「別の人に任せる」の四つに分けると、改善の方向が見えやすくなります。
ムダな仕事は、1回あたりの時間だけを見ると判断しにくいものです。
たとえば、10分かかる作業を1人が毎日行なえば、月20日で約3時間20分です。5人が同じような作業をしていれば、会社全体では約16時間40分になります。
しかも、時間だけが問題ではありません。現場監督が細かな転記作業に時間を使えば、職人との打ち合わせや段取り確認に使える時間が減ります。
経営者が資料探しに追われれば、見積や受注、採用など、本来優先したい仕事に手が回らなくなります。 だからこそ、「一つの仕事に何分かかるか」だけでなく、「誰が、どの頻度で、何のために行なっているか」を見る必要があります。
注意したいのは、効率化を「とにかく仕事を減らすこと」と考えないことです。 安全確認、施工記録、写真管理、請求に必要な資料など、後から重要になる業務まで省いてはいけません。判断の基準は「面倒かどうか」ではなく、「会社や現場にとって必要かどうか」です。
見直す際には、経営者だけで決めるのではなく、実際にその仕事をしている人へ聞くことも重要です。「この作業は何のため?」と責めるように聞くのではなく、「もっと楽にする方法はないか」と一緒に考える。これだけでも、現場から改善案が出てくることがあります。
毎日続けている仕事の中には、実は会社の弱点を教えてくれるヒントが隠れています。 同じ情報を何度も入力しているなら、情報共有の仕組みに課題があるのかもしれません。
特定の人だけが資料を作っているなら、仕事が属人化している可能性があります。確認作業が多いなら、最初の段取りやルールが曖昧なのかもしれません。
「誰も頼んでいないのに、なぜか毎日やっている」。そんな仕事を責めるのではなく、会社を改善する材料として見てみることです。
建設会社の生産性向上は、大きな設備投資や難しいIT導入から始めなくても構いません。まずは、社員が毎日何気なく続けている仕事を一つ拾い、「誰のためか」「本当に必要か」を確認することから始められます。
小さなムダを一つずつ減らすことが、現場と会社の時間を守る第一歩になります。
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