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国の予算の組み方が、大きく変わろうとしています。
2026年10月29日に開かれた第15回経済財政諮問会議(経済財政諮問会議とは:首相が議長を務め、経済財政運営や予算編成の基本方針を審議する内閣府の会議)で、有識者議員4名が「予算編成の抜本見直し」を具体化する提言を提出しました。キーワードは「予見可能性」です。国が何年先までどれだけ投資するのかを示し、民間が安心して投資できる環境を整えようという内容です。
提言の柱は大きく3つです。
1つ目は、『「強く豊かな日本」投資枠』(投資枠とは:危機管理投資・成長投資のために令和9年度予算で設ける予算の枠)を、成長戦略の実行につなげる仕組みにすること。
2つ目は、補正予算への恒常的な依存から脱却し、当初予算を中心とした複数年度の予算運営へ転換すること。
3つ目は、それを支える税収見積もりの精緻化と財源の確保です。
提言では、令和9年度予算を「責任ある積極財政元年」の予算と位置付けています。
出典:内閣府ウェブサイト(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/1029shiryo_02.pdf)
理由は、民間投資を引き出すためです。年末に策定される「日本成長戦略実行計画」では、今後5年間の集中投資期間における国内投資の道筋を示すとされています。
提言は、初年度の予算だけでなく、後年度の官民の投資規模や財政措置の時間軸を可能な限り明らかにすべきだとしています。経済安全保障上重要な分野などは、特別会計で複数年度の財源を確保し、政府の本気度を財源面から裏付けるべきだとも述べています。
また、予算査定の考え方を「金額を削る」査定から「政策設計を磨く」査定へ転換することも盛り込まれました。民間投資の誘発効果や官民のリスク分担、後年度の財政負担などを確認しながら、政策の質を高めていく方向です。
参考資料からは、次のような数字が読み取れます。
・投資枠の概算要求は12.2兆円+事項要求(事項要求とは:金額を示さず項目だけを要求し、予算編成の過程で金額を詰める方式)
・令和9年度概算要求の予算規模は143.1兆円+事項要求、うち政策経費は106.4兆円+事項要求
・新規国債発行額は令和8年度当初で29.6兆円、令和7年度補正後で40.3兆円
・令和7年度補正後は、政策経費が4.7兆円増える一方、税収・税外収入が8.9兆円増え、新規国債発行額は1.8兆円縮小
また、当初予算時点の税収見積もりは決算と比べて上振れ傾向にあり、直近4年間の平均で所得税は2.3兆円、法人税は1.6兆円、消費税は0.9兆円の乖離があったとされています。提言は、この乖離要因を分析し、当初予算の段階で税収をより精緻に見積もるべきだとしています。

出典:内閣府ウェブサイト(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/1029shiryo_02.pdf)
提言では、継続的に必要な施策は当初予算で措置することを基本とし、補正予算は災害や突発的事態への対応など財政法第29条(財政法第29条とは:予算作成後に生じた事由で特に緊急となった経費などに限り補正予算を組めると定めた規定)を踏まえて必要性を精査すべきだとしています。ただし、経済ショック時に必要な財政対応を行なわないという意味ではないとも明記されています。
複数年度の予算措置の手段としては、基金、国庫債務負担行為(国庫債務負担行為とは:国が複数年度にわたる支出を約束する契約を、あらかじめ予算で認めておく仕組み)、繰越などを事業の性質に応じて活用するとしています。特に国庫債務負担行為の活用を進めるべきだとされました。
一方、基金は資金の滞留を抑え、過大な資金の国庫返納を進める方向で、9年度末の基金残高は7兆円と見込まれています。
出典:内閣府ウェブサイト(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/1029shiryo_02.pdf)
今回の内容はあくまで有識者議員による提言で、今後、令和9年度予算編成の基本方針の改定などで具体化される予定です。ただ、国が「複数年」「予見可能性」を重視する方向へ舵を切ろうとしていることは、受注計画や設備投資を考えるうえで見逃せない流れです。
まずは、年末の実行計画と予算編成の基本方針、その後の当初予算の中身を確認し、発注機関の動きを継続して追うことをおすすめします。年度をまたぐ仕事が増える可能性も視野に入れ、人員や協力会社の体制を早めに見直しておくと安心です。
国の予算は「その年ごと」から「数年先まで見通せる」形への転換が議論されています。制度の動きを早めにつかみ、中長期の目線で経営計画を立てていきましょう。
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出典:第15回経済財政諮問会議 会議資料(資料1・資料2「予算編成の抜本見直しを実行に移すために」)(内閣府)(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/1029agenda.html)をもとに作成
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