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職人が辞める理由は、給与や休日だけとは限りません。中小の建設会社では、「頑張っているのに、何を評価されているのか分からない」という不満が、離職のきっかけになることがあります。
特に現場では、仕上がりの品質、段取り、安全への配慮、後輩への指導など、数字だけでは見えにくい貢献が多くあります。だからこそ、職人の定着を考えるなら、会社として「何を頑張れば評価されるのか」を見える形にすることが重要です。
評価制度というと、難しい点数表や人事システムを想像するかもしれません。しかし、社員数が少ない会社なら、最初から大がかりな制度を作る必要はありません。まずは現場で大切にしたい行動を整理し、本人と会社が確認できる仕組みにすることから始められます。
評価制度で最初に決めたいのは、「仕事ができる職人とは誰か」という基準です。
例えば、施工品質だけでなく、危険箇所を早めに見つける、安全確認を徹底する、材料の無駄を減らす、次の工程を考えて動く、現場をきれいに保つ、後輩に分かりやすく教える、といった行動も評価対象になります。 ここを曖昧にしたまま「頑張った人を評価する」とすると、評価する人の主観に左右されます。
「社長と話す機会が多い人ほど評価される」といった不公平感につながる可能性もあります。評価項目を具体的な行動に置き換えることが、制度づくりの第一歩です。
小規模な会社であれば、評価項目を増やしすぎないことも大切です。
例えば「品質」「安全」「段取り」「協力・指導」「改善・学習」の5項目に分け、それぞれを3段階程度で確認する方法があります。
「できている」「もう一歩」「重点的に伸ばしたい」など、分かりやすい表現でも構いません。重要なのは点数をつけることではなく、本人が「次に何を伸ばせばいいのか」を理解できることです。
また、評価は年に一度だけで終わらせない方が効果的です。半年に一度、あるいは繁忙期の区切りなどに短時間で振り返り、「前回よりできるようになったこと」「次に挑戦すること」を確認します。
忙しい現場でも続けられる程度の簡単な運用にすることがポイントです。
評価制度を作る際に注意したいのが、「評価が高い=すぐ給与アップ」という設計だけにしないことです。もちろん処遇への反映は重要ですが、職人が会社に残りたいと思う理由は、それだけではありません。
例えば、難しい仕事を任せる、資格取得を支援する、後輩指導を担当してもらう、現場リーダーへの道筋を示すなど、評価と成長機会をつなげる方法があります。「自分の経験が次の役割につながっている」と分かれば、長く働くイメージを持ちやすくなります。
特に若手の場合、「何年働けば何ができるようになるのか」「どんな仕事を任せてもらえるのか」が見えないことが不安につながります。評価項目をキャリアの目安として使えば、教育にも活用できます。
制度を整えても、評価面談で「もっと頑張って」とだけ伝えてしまえば、本人には何も残りません。「安全確認が以前より早くなった」「後輩への声掛けが増えた」など、具体的な行動を伝えることが大切です。
反対に改善を求める場合も、「段取りが悪い」ではなく、「材料の確認を前日に終えるようにする」といった行動レベルで伝えます。評価は社員を順位付けするためだけのものではなく、会社が期待する仕事を共有するための会話と考えると、運用しやすくなります。
最初から完璧な制度を作る必要はありません。まず5項目程度で始め、実際に運用してみて「評価しにくい項目」「現場では重要なのに抜けている項目」を見直していく方法が現実的です。
※画像はイメージです
職人の定着率を高める評価制度で大切なのは、複雑な仕組みを作ることではありません。「何を大切にして働いてほしいのか」「成長すると、どんな仕事を任せてもらえるのか」を会社が明確にすることです。
現場で当たり前になっている良い仕事を言葉にして評価し、本人の成長と次の役割につなげる。小さな会社だからこそできる、顔の見える評価制度から始めてみてはいかがでしょうか。
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